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一本の縄の

一本の縄のようなことをしたい
みずからを結ぼうとして
結べず
人の手とその死とを待つ
待っている
物陰の
未明の
一本の縄のようなことをしたいだけなのだ
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二ツの

やっぱりだめですね
忘れたら あの一ツ目を
あっちがこっちなのに
こっちが見ているのに

どこかが明るんだので
とてもよく見えます
あっちをむいています そして
こっちを見ています

ということは やっぱり
こっちが見ているのですね
一ツ目で
あっちからこっちを

(二ツの
 一ツ目がありました
 思い出しました
 (違う と言ってください))

暗いところ

とても暗いところに
いればいい それだけのこと
手の爪が見えなくなって 肘が
耳が 額が 両眼が見えなくなって 暗さが

どこにも見えなくなる――
そういう暗いところに
いればいい 人や
名ではなくなるために

そして
とても遠いところに
ふいに光るのを待つのだ
吊られた鉤の先に

この飽和溶液の ふたたびの結晶が
光るのを――
頭上の
そう あまりにも遠いところに

あたしのゼリー・ビーンズ

あたしのゼリー・ビーンズ
あの赤いゼリー・ビーンズ
あそこに
おいといたのはあたし

おいといたのはあたし
ここまでが全世界 って
覚えていられるように
ここからは

行っちゃだめ って
わからなくならないように
おいといた
はずなのに

たべちゃったの
だれか
あたしのゼリー・ビーンズ
あの赤いゼリー・ビーンズ

仕事

時計を狂わせるのも仕事
わたしの仕事です
そしてわたしが狂わせた時計を
あなたが直して回る

一晩に千個 一秒ずつ
進めていくとして
あなたがその後から 一秒ずつ
遅らせていくのです

けれどもある晩には 一つか二つ
わたしが進めるのを忘れ
その後で正確に千個
あなたが遅らせるとすると

次の朝 一つか二つ
あたらしく時計が遅れる
こういう仕事です
わたしの そしてあなたの


  *

「即興月間」2010/11/16~2010/12/16 試作品
 

プロフィール

 

Author:岩尾忍
1980年生れ。
2010年、詩集『箱』(ふらんす堂)。

 

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