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扉の意味

よくある話だと思う
それが描かれているのも
何度か
見たような気がするが

一面の砂漠に
扉と枠だけがあって
立っていて
開けることも閉めることも可能で

通り抜けることも可能で
つまり扉の果たすべき機能を
完全に果たしていて

ただ

その扉を開けて
その扉を通り抜けてそれから
その扉を閉めても

どこかから出たことや
どこかへと入ったことに
ならない
ということの

確かさと疑わしさについて
書いているのかもしれない
その扉のむこうにだけいつも
遥かな「ここ」が見えたと


  *

「即興月間」2010/11/16~2010/12/16 試作品
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翌日

もう一度水びたしになって
もう一度崩れるといい
床に積み上げられた
人の

もろもろの綴りとか
飴とか
鮮明な色のもの
たとえばアフリカ大陸の塗り分け

首筋に爪痕をつけて
それだけで帰ってきた

もう謝りたい
また
在らせてしまったよ
在らせてしまったよって


  *

「即興月間」2010/11/16~2010/12/16 試作品

はじまり

どうしてそうなるの
ねえ どうしてそうなるのさ
あれ みてんだろ
あれみてかいてんだろ
どうしてそうなるんだよ
ほらさあ
ぜんぜんちがうじゃん
おれのとさあ ほら
なんでかなあ
そんなのみえねえけどなあ
ないだろ あそこに
これも
ほら これも
…あんのかよ
ほんとかよ
みえねえよそんなの
ぼくにはね こうみえるの
こうなってこうなってこうなって
こうなってるんですがね
ちがいますか? あーあ
なんでだよ
なんでちがうんだよ
あれだろ
あれみてんだろ
おれも
あんたも
あれみてかいてるんだよな
そうだよな
あーあ
わかんねんよ もう


  *

「即興月間」2010/11/16~2010/12/16 試作品

そういうものではない

そういうものではない
そういうものではない と
誰にも聞こえない言い方で誰かに
言いながら歩いてきた
昨日の
雨の後
午後九時半
ちょっとした買物に
近所の店まで歩き
歩いていて
突然
気がついてしまった
そういうものではない
そういうものではないと
言いながら歩いている と
ここまで 歩いてくるまでに
何度そう言ったか
もう
数えようのないほど
そして いったい何が
そういうものではない
そういうものではない何か
であったのか もう
思い出せないほど
昔から
こうして
歩いてきた
歩いているのだと
突然


 *

「即興月間」2010/11/16~2010/12/16 試作品

くしゃみ

あんまり静かなので 私が
いなくなったんじゃないかと
思って
探してしまいました

靴下の毛玉の中
窓ガラスと網戸の隙間
冷蔵庫の上
読みかけて伏せた本の下

すると 少しずつ私は
見つかって
集めると ちょうど
片方の掌にあふれて

静かな 冬の初めの朝の
乾いた大気に散って
どこかで 私の
くしゃみする声がしました


  *

「即興月間」2010/11/16~2010/12/16 試作品
 

プロフィール

 

岩尾忍

Author:岩尾忍
1980年生れ。
2010年、詩集『箱』(ふらんす堂)。

 

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