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「不可視配給株式会社」

ブライアン・W・オールディス「不可視配給株式会社」、たまたま、という感じで読んだのだけれど、これ、うまいなー。かちっ、と音が出そうなほど完璧にまとめられた寓話。最後の一ページの切り返しも見事。

寓話というのは、話自体の出来のほかに寓している思想の独創性も問われるわけだけれど、そっちの方は、まあ、それほどでもないかな。解説では「男と女の寓話」と書いていて、そんなふうにまとめてしまうとますます面白くない。しかしそれでも、話の手触りだけで十分唸らされる短編。

考えてみると、寓話の基本というのはそれこそ、不可視のものを可視に、抽象を具象にして見せる、ということだよね。寓話といわず、詩や小説の仕事の大きな部分がそれだ。しかも面白いのは、そうして具象化されてしまったものというのは、なぜか本来の観念、不可視のものよりも豊かになっている。それをふたたび抽象化しようとすると、不思議なことに、意味が「増える」のだ。この小説でもそうで、「不可視のもの」が何かということは冒頭であれこれ説明されてしまっているにもかかわらず、それがいったん「テーブルの上の二つのつぼ」として置かれ、物語が語りだされ語り終えられた後には、それをもう、単純に説明してしまうことができない。そういうことまでが、まさに目に見えるように描かれている。

伊藤典夫編『海外SF傑作選 ファンタジーへの誘い』所収。深町真理子訳。
 

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岩尾忍

Author:岩尾忍
1980年生れ。
2010年、詩集『箱』(ふらんす堂)。

 

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