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2012.09.08.1

なぜか一日に何度も、白井愛を思い出す。といっても、まず誰にも通じないだろうな、白井愛なんて。そういう作家だから。
白井愛の最後の作品、『人体実験』(2005年、れんが書房新社)を思い出す。あれは、笑って読んでいいんじゃないだろうか。癌で死ぬ前の最後の日々にさえ、この人の文体は健在だ。内容として読めば鼻につくナルシシズムも偏狭さもあちこちに見えるのに、なぜか憎めないのはやはりあの文体のせいだと思う。不思議にからりとして、明るい。そして、そういう自身の頑なさや驕りをどこかで冷やかに突き放して見ている、危うく光る一点のような醒めた眼がある。

偏屈人間が偏屈人間として生を全うする方法を、私は白井愛から、たぶんいくらかは学んだ。自身の偏狭と傲慢ゆえにどうせ納得はいくはずもないこの世での数十年を、矛盾にまみれながらどうにか生きて、「それでは、みなさん、一足お先に」と最後は明るく書き残して死ぬ。学んだことが、そのまま使えるとは限らない。が、こういうふうに生きて死ぬことができるのね、という一つの例を、私はたしかに白井愛から学んだ。
 

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岩尾忍

Author:岩尾忍
1980年生れ。
2010年、詩集『箱』(ふらんす堂)。

 

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